天才な彼を笑わす方法
瀬川をもう1度マジマジ見ると、先ほど見たはずの迷惑そ~な顔は消え、いつもの真面目そうな顔に戻っていた。
「瀬川…?」
「……何ですか?」
あれ?
普通の瀬川だ。
「瀬川さ、今怒った?」
「………」
「瀬川?」
「…別に怒ってません。
早く行きましょう、先生方が心配しています」
瀬川は淡々と言うと、スタスタ歩き出す。
私は瀬川の隣に並んだ。
「瀬川。
さっき叫んだよね?
うるせぇとか叫ぶんじゃねぇとか、馬鹿がとかって」
「……気のせいじゃないですか?
僕、そんなこと言いませんけど」
え?空耳??
…そんなことないと思うけどなぁ。
私、目と耳は良い方だからさ…。
空耳だと信じられなく、何度も瀬川に聞いてみたが、瀬川は「知らない」の一点張り。
暫くし先生方の元へ到着した。
先生方にはこっぴどく叱られるし、和歌奈さんと宇佐美くんには心配され。
私が探しに行ったココちゃんは無事見つかっていて、「ありがとう」と最高の笑顔で言われ。
…そんなドタバタの遠足だったけど。
凄く楽しかった。
ただ、
瀬川のアレは、絶対空耳じゃないよ。
いつか、
真相突き止めてやるんだからぁ!!