天才な彼を笑わす方法
それなのに。
同じ窓際の席だと言う瀬川は、涼しそうな顔をしながら、ノートにシャーペンを走らせている。
…羨ましい。
「…僕の顔に、何か?」
遠足から少しだけだけど話すようになった私と瀬川。
まぁ音量は小さいし、相変わらずの敬語だし、無口だけど。
それでも入学当初に比べたら、大きな進歩だと思う。
「ううん。
ただ、涼しそうだなぁって思ってさ」
「…涼しくはありませんけど」
「涼しそうに見えるのよ」
「………」
瀬川は視線を黒板へと移す。
最近気が付いたけど、瀬川は一応、話す時はちゃんと話している側の顔を見ている。
それは偉いんだろうけど、ちっとも話さないから、意味がないのかもしれない。
「そういえばお前ら。
いよいよ明日からは中間考査だからな!
気合い入れて、最高の結果を出せるよう、精一杯頑張れっ!」
「はいっ!!!!」
げぇ!?
テストォ!?
…マジかよ。