天才な彼を笑わす方法







「…ウサギ」



瀬川は初めて出会った時と同じような口ぶりで、宇佐美先輩を呼ぶ。




「一光お兄様。
お久しぶりでございます」


和歌奈さんが丁寧に頭を下げる。

…凄い。優雅だ!



「あ、和歌奈ちゃーん。
久しぶりー♪」


瀬川から離れない宇佐美先輩が、明るく言う。

小さな子どもが、近所のお姉さんに話しかけているみたい。




「相変わらず和歌奈ちゃん美人だねぇ。
ぱっと花が咲いたみたいだよー」



和歌奈さんを口説き始める宇佐美先輩。

可愛い外見に似合わず、女好きなのかもしれない。



「オイお兄様」

「あれー光一じゃーん。
何でそんなに怒っているのー?
もしかしてヤキモチー?」

「俺の和歌奈に触れるな。汚れる」

「ヒドいなぁ」



ケタケタ笑う宇佐美先輩と、怒り気味の宇佐美くん。

…これじゃどっちが兄でどっちが弟かわからないよ。







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