天才な彼を笑わす方法
「…またですか宇佐美先輩」
いつものことのように、瀬川は冷静に問う。
「だって俺の言うこと聞いてくれねーんだもん。
最終手段だから、ね。
いつもは使わないから、安心して?」
「…たまに使いますよね」
「さぁ!
先輩も来ることですし、行きましょうかァ!」
「ウオオォォォ」と黒服たちが叫ぶ。
…軍隊ですかって、2度目の突っ込み。
「さ、俺についてきなさい!
光一はいつも通り、和歌奈ちゃんとカナコちゃんのエスコートを頼むな!」
「わかっているよ」
半ば暴走気味の宇佐美先輩に、半ば呆れ気味の宇佐美くんが返事をする。
…この兄弟正反対の性格しているけど、かなり息は合っているよね。
「じゃ、行くか」
宇佐美くんは彼女である和歌奈さんの手をさりげなく握る。
…お熱いことで。
ご馳走様です♪
学校を出ると、正門前に黒く長い車が停まっていた。
普通クラスの生徒たちが、物珍しそうに見ている。
…確かにそうだよねぇ?
私特進クラスだけど、こんな高級車初めて見たもの。