天才な彼を笑わす方法
「さぁ和歌奈ちゃんどうぞ。
カナコちゃんは初めてだよね?
ささ、遠慮せずに入って入って」
サッと車のドアを開け、宇佐美先輩が微笑む。
和歌奈さんはペコッと小さく優雅に会釈し、宇佐美くんが少しだけ宇佐美先輩を睨みながら、私はドキドキしながら乗り込んだ。
中はかなり広く、足を思い切り伸ばせた。
電車のボックスシートのように、向かいあう形で座った。
私の目の前が瀬川。
私の隣が和歌奈さん。
和歌奈さんの前で、瀬川の隣が宇佐美くん。
宇佐美先輩は、何故か私と和歌奈さんの間に座ってニコニコ。
「何で宇佐美先輩、私と和歌奈さんの隣に…?」
「うん?
事故に合いそうになった時、真っ先に守るべきは可愛らしいレディーたちですからね」
サラッと言う台詞は、かっこいい宇佐美先輩だから似合うのかもしれない。
…ところで。
目の前の瀬川から、思い切り不機嫌そうなオーラが漂ってくるんですけど。
「瀬川?」
「………」
「ごめんね連れてきちゃって」
「……宮野のせいじゃないですよ」
「え?俺のせい?」
「…ええ、ウサギのせいです」
「だから俺、ウサギじゃないですって。
宇佐美ですって、何度言えばわかるんですか」