天才な彼を笑わす方法






「…ところで」



隣で溜息をつきまくる瀬川が、小さく呟く。

前は聞き取れないほどの小さな声だったけど、最近は聞き取れるようになって来た。

…慣れなのかな?




「…何で僕も来ることになったんですか?」

「瀬川様頭良いじゃないですか。
入試もトップ合格ですものね?」

「そう言う鳳も、2番合格じゃないですか」

「あたしだけじゃないですわ。
確かコウちゃんも2位のはずですわ」

「あれはまぐれだよ和歌奈」



え?

とんでもない暴露話が出てきた…。



ちなみに私は、入試は10位合格。

30名いる特進クラスで10位合格は良い結果だと思い、1人部屋の中で騒いでいた私が恥ずかしくなってきた…。




「カナコさんは何位ですの?」



和歌奈さんが最もしてほしくなかった質問をしてきた。



「10位…」

「まぁ」

「へぇ、10位」

「………」



和歌奈さん、宇佐美くんだけでなく、常に無表情な瀬川までもが気まずそうな表情を浮かべる。


…どうせ馬鹿ですよーだ。









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