天才な彼を笑わす方法
…さて、問題は。
「瀬川~」
「………」
「教えてくれない?」
「………」
「瀬川がいたら、百人力なんだけど~」
「………」
「もしも~し」
「………」
「聞いていますか~?」
「……お断りします」
はぁ、そんなに丁寧に拒否しないでよ。
「まぁ折角来たんだし、瀬川も寄って来いよ。
ここから瀬川の家遠いんだしよ。
帰りに送ってやるから、な?」
「コウちゃんもそう言っていますし。
それに今帰ってしまわれたら、きっと一光お兄様が怒りますわよ?
一光お兄様が怒ったらどうなるか、瀬川様はご存知のはずですわ」
…確かに。
瀬川と初めて会った日、宇佐美先輩怒ったけど、結構怖かったかも。
「…お邪魔します」
小さく溜息を吐きながら、瀬川は渋々と言った感じで言う。
「そう来なくっちゃ。
さ、和歌奈もカナコさんもどうぞ」
「「お邪魔します(わ)」」
私たちは宇佐美くんの後を追い、宇佐美財閥本社ビルの中へ入った。