天才な彼を笑わす方法










宇佐美財閥本社ビルは、名前も見た目もビルだけど、5階までは宇佐美家となっているんだって。

宇佐美財閥本社ビルの受付みたいな所で、受付嬢みたいな人に会釈をされ返すと、大きなエレベーターの中に入った。

5つあるエレベーターのうち、1つは特別なもので、それに乗らない限り、家には行けないんだって。

他のエレベーターと見分けが付かないから、防犯にもなっているとか。

エレベーターを使用して良いのは限られた幹部ランク以上の人で、その人たちのみ、本社続くエレベーターがどれか教えているんだって。





「その辺にテキトーに座って」



宇佐美くんに案内された私たちは、宇佐美くんが先輩を部屋へ運ぶ間、宇佐美くんの部屋に来ていた。

宇佐美くんの部屋は、広い。

…ただ。



凄く汚い。




床には学校で使ったプリントだのお菓子の袋など、ごみか大切なモノかわからないほど散乱している。

1人で寝るには大きすぎるベッドの上には何も置かれてはいないものの、布団や枕カバーが外れ、床に落ちている。




「ごめんなさいねカナコさん。
コウちゃん悪い人じゃないんですけど、片付けだけは壊滅的で…」



まるで奥さんのように、和歌奈さんは片付けを始める。

偉いな…。





「和歌奈、掃除してくれたんだ」

「コウちゃん。
前来た時より汚くなっていますわ。
ちゃんと掃除はしているんですの?」

「メイドとかに頼んでいるんだけどね~…」

「人に頼ってはいけませんわ。
それにメイドさんが掃除してくれても、コウちゃんが汚くしてはいけませんわ」

「…ごめん、和歌奈」



本当に和歌奈さん、奥さんみたい。







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