天才な彼を笑わす方法
「瀬川、美味いか?」
私たちを無視し、宇佐美くんはニコニコ笑顔で瀬川に尋ねる。
「………」
「聞いているなら返事しろよ」
「……まあまあですね」
「瀬川様もカナコさんも変ですわぁ」
瀬川、甘党?
へぇ、可愛い所あるじゃん!
「…何か用ですか?」
「いや別に?」
ウフフと笑うと、瀬川は嫌そうな顔をしていた。
「瀬川、カナコさん。
良かったらお土産にどうぞ。
さっきも言ったけど、俺の家、お祖父様が作った紅茶嫌いだから」
宇佐美くんが差し出したのは、高級そうなパッケージの茶葉入りの箱。
1箱だけでなく、ご丁寧に5箱も。
「良いの?じゃあもらうね。
ありがとう宇佐美くん」
「俺ももらってくれて嬉しいから。
…ほら、瀬川の分」
「………」
瀬川も受け取っていた。
その顔は相変わらずの無表情だけど、どことなく嬉しそうな感じだ。
瀬川について、色々知れたお茶会だった。
あれ?
お茶会?
…違う気もするけど、まぁ良いか。