天才な彼を笑わす方法
5~普通クラスの友達~
音楽の授業中。
私は先生に突然呼ばれた。
「宮野さん。
悪いんだけど、楽器保管室から、バイオリンを取ってきてもらえないかしら?」
「は?…バイオリン!?」
「ええ」
ここ、そんなにお金持ち高校じゃないのに、バイオリンがあるのか?
それとも外見はそうでもないけど、特進クラスの生徒の親が多く学費を支払うから、それで?
…よくわからないけど、私は一応返事して、楽器保管室とやらに向かった。
どこだぁ?楽器保管室って。
てか楽器保管室があるんだ。
そんなに楽器多いのかい?
キョロキョロ探し回っていると、日陰になっている公園で、1人の女の子が座っているのを見かけた。
…今授業中のはずなのに、何故?
私はその子の元へ向かった。
「こんにちは!」
明るく声をかけてみると、女の子はビクッとして、私を見た。
「…あ、あの……?
あたしに何か…用ですか?」
…正直言ってどこにでもいそうな顔立ちの少女は、目をパチパチさせながら、私を見つめた。