天才な彼を笑わす方法
艶のある黒髪についている赤いバレッタが、上品な印象を与えてくれる気がする。
そのリボンの色は、赤。
私たち特進クラスの青とは違う色なので、普通クラスの生徒みたい。
「こんな所で何しているの?」
「あ、あなたこそ何しているんですか?」
「私は先生に頼まれているの。
楽器保管室を探しているんだけど…どこだか知っている?」
「あ…知っています。
案内…しましょうか?」
「ありがとう」
立ち上がった女の子の後を、ついて行く。
「ねぇ、あんな所で何していたの?」
「…ひ、人を探していたんです」
「人?」
「はい…」
「何で授業を抜け出してまで探しているの?」
「その子…クラス違うので…。
こうやって抜け出して探した方が…探しやすいんです」
「先生とかに怒られないわけ?」
「はい。
あたし、理事長の娘なので」
理事長の娘!?
なら怒られないわな。
「ところでその制服、特進クラスですよね?」
「そうだけど?」
「あたしの探している人も、特進クラスなんです」
「そうなんだ~…」
嬉しそうに話すその子。
よっぽど会いたいんだな…。