天才な彼を笑わす方法
☆☆☆
「瀬川様、先ほどはどうされたんですの?」
瀬川が音楽の授業が終わって、すぐにどこかへ行ってしまったので、和歌奈さんと宇佐美くんが私の所へやってきた。
「わかんない…。
でも、私が理事長の娘さんと会ったことを話した途端、瀬川が筆箱落としたの」
「理事長の娘ですか…?
あたしは存じ上げませんわね。コウちゃんは?」
「俺も知らないや」
宇佐美くんが言った所で。
…ガラッと扉が開いた。
「カナコちゃん!」
「あ、桜ちゃん?」
扉を開けたのは、桜ちゃん。
桜ちゃんは気にせず、ドンドン教室内へ入る。
大人しそうに見えるが、意外にも積極的らしい。
「特進クラスって初めて来た。
カナコちゃん、今度あたしに勉強教えて?」
「良いよ」
「あ、カナコちゃんの友達さん?
初めまして、稲村桜です」
「鳳和歌奈と申します」
「宇佐美光一。よろしく」
和歌奈さんと宇佐美くんが、驚いた表情を浮かべながらも、ちゃんと挨拶をする。
さすがお嬢様とぼっちゃま!
礼儀はなっているよね~。