天才な彼を笑わす方法
「あ…瀬川」
私が言うと、瀬川は私を睨んだ。
しかもその目力、ハンパじゃない。
…殺気と言っても良いかもしれない。
「あ、なーくん!」
桜ちゃんが瀬川を見て嬉しそうに言う。
てか、なーくん?
「……何しに来たんです?」
「会いに来たに決まっているじゃない!」
桜ちゃん、子犬のように瀬川に近づき、何の躊躇いもなく、その手を握る。
対して瀬川は、あの殺気めいた瞳を、桜ちゃんへ向ける。
…さっき、私に向けたんじゃないんだ。
「………」
「あ、カナコちゃん!
紹介するね?」
「え?」
桜ちゃんは、その腕を瀬川に巻き付ける。
…そう。
まるで恋人のように。