天才な彼を笑わす方法
「あたしの恋人だよ!」
―――桜ちゃんの発言は、教室中を静かにさせるのに十分な力を持っていた。
「え?
瀬川様、彼女さんがいたんですの?」
「意外…。
いないかと思ってた…」
和歌奈さんと宇佐美くんが驚くのも無理はない。
「瀬川様?
なーくん、瀬川様って言われているの?」
「…鳳にだけですよ。
ところで」
瀬川の瞳が発する殺気は、ますます強くなる。
「…なーくん言うの止めてくれませんか?
僕は、瀬川で良いですから…」
「え?何で?
瀬川って、カナコちゃんや宇佐美くんと同じじゃない。
あたしたち恋人だよ?」
「………」
何故か寂しそうな表情を浮かべる瀬川。
勿論表情を変えないから、そんな表情を浮かべているのか自信はないけど。
…不思議と、そんな感じがしたんだ。