天才な彼を笑わす方法
「良いよねなーくんって言っても。
あたしたち…恋人なんだから…ネ?」
「………」
「なーくん?良いでしょ?」
…何でだろう?
桜ちゃんの言葉が、重く聞こえるのは。
桜ちゃんの一方通行の道だと思うのは。
キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴り響く。
小さく、桜ちゃんは舌打ちをした。
「邪魔なチャイムだなぁ。
なーくん、このまま2人でサボらない?」
「……お断りします」
「なーくん真面目だなぁ。
お父さんに言えば、授業日数なんて簡単に取れるのに」
「…拒否します。
あなたのお父様に迷惑はかけられません」
「あなたって…あたしたち恋人だよ?
あたしのことも名前で呼んでよー」
桜ちゃんが瀬川に甘えた時。
ガラッと前の扉が開いた。
「何しているんだ。席に座れ。
…普通クラスの奴は教室に戻れ」
担任が授業のため入ってきた。
「…邪魔しやがって、馬鹿教師が。
お父さんに言って、クビにさせちゃおうかな?」
フフフッと笑う桜ちゃん。
…寒気がした。