天才な彼を笑わす方法
「…桜。
良い加減教室に戻りなさい。
これ以上お父様に迷惑かけるのやめなさい」
瀬川がぴしゃりと言い放った。
すると桜ちゃんはアッサリ微笑んだ。
「わかった。
今日は戻るね。
でも、教室わかったし、カナコちゃんはいるし。
またお邪魔するね?」
「バイバイなーくん、カナコちゃん」と笑顔で桜ちゃんは出て行った。
瀬川は溜息をつくと、自分の席へ戻る。
私や和歌奈さん、宇佐美くんも担任の目が怖くて、戻った。
「…瀬川」
担任がプリントを印刷するため教室を出た時、私は身を低くしながら、瀬川の元へ向かった。
「…何ですか?」
「桜ちゃんとはどういう知り合い?」
「…恋人、と桜が言ったはずですが?」
「そうなんだけどさ…。
恋人に見えなくて…」
「見えない、ですか?」
「うん…。
桜ちゃんの一方通行に見えるんだ…。
瀬川とは無理矢理付き合っている気がして」
「………」
「ごめん、いきなり。
ただ…気になって……」
「…桜が友達だからですか?」
瀬川の目は、この上なく冷たい。
凍え死んでしまいそう…。