桜の花びらは美しく、儚く、散っていく。

逢瀬朔夜

「おはよー、咲良！」

「おはよー！」

挨拶しながら教室に入る。

うちの学校は3年間クラス替えがない。

クラス替えのドキドキがないのは残念だけど、2年間一緒に居た友達と離れずにすむのは嬉しい。


しばらく話した後、

私達は廊下の窓から新入生の様子を見た。

みんなわくわく、ドキドキ、希望と不安が混ざったような表情。

「あの子イケメン！」

「あっちの方がイケメンだよー！」

そんな声が飛ぶ中、


ｷｷｷｨｯ

バイクが敷地内の隅に停まった。

視線が一気に彼に集まる。

彼は視線など全く気にしていない様子で金色の髪を輝かせながら歩く。

「きゃー！朔夜せんぱーい♡」

「朔夜さーん♡♡」

「朔夜くーん♡こっち向いてー♡」

そんな悲鳴には、顔をしかめながら彼は校舎に入っていった。