至上最強の総長は私を愛しすぎている。~DARK NIGHT~ Ⅱ
「あたしは凌牙が好き。それだけはどうしても譲れない」


きっぱりと、お姉ちゃんの目を見て言った。


もう、お姉ちゃんの言いなりになるだけの弱いあたしじゃない……。


「……優月……」


小さく開けた口から、微かに零れる声。


それはまるで、変わってしまった妹に戸惑っているようにも見えて。


「お姉ちゃんにとっては、感謝するべき凌牙なんだから。相手に文句ないでしょ?」


これは完全に挑発だと理解しながらも、お姉ちゃんにとって凌牙が救世主だったなら、そのくらい許されたって当然。



……ちがうのに……。


……凌牙は……救世主なんかじゃないのに。


ただ大人の利害に利用されただけ。


救世主だなんて称えられても、嬉しいわけがない。
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