世界で一番大嫌いif





「ピヨちゃん?」

名前を呼ばれていることに気がついて目を開く。

保健室のベッド。
どうやら私は眠っていたらしい。

「……紀田?」

「どうしたの? 呻いたと思ったら泣いてるし」

心配そうに私を覗き込む紀田。
私は手を伸ばし、彼を抱き締めた。

「生きてる?」

「え、生きてるけど」

紀田の体はちゃんと温かい。鼓動だってある。

目からたくさん、涙が溢れた。
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