月夜の影3
就寝時間後、星野は二人を呼び出した。

「どうだった?」

「阿月のこと?」

「そうよ」

「無表情だね。なにもしゃべらないし」

健也が心配そうに言った。

「慣れてないだけだろ。そのうち…」

「あの子も苦労してきたから、人を信用してないのかもしれないわ」

「苦労…?」

苦労、という言葉に健也が引っかかった。

「まずこの学園で生活してる時点でみんな苦労してきた子達ばっかだろ?」

「そうね。
虐待されていた子、育児放棄された子、家族が亡くなった子…」

「俺らもそうだからわかるよ、それくらい」
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