月夜の影3
阿月も薄々気づいてはいた。
ほかの子どもたちよりも自分が気にかけてもらえていること、
健也や千秋が阿月のことを気にかけていること。
だけど、それを断ち切ることができなかった。

「阿月、今日また放課後に来るから、そしたら健也としゃべってみろよ」

「しゃべ…る?」

「そ、俺としてるみたいにさ。
もうノートとペンはいらないな」

「でも…」

「でも?」

「怒らない…?」

「怒る?」


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