もう一度…
ショックでしたが、これも仕方がない…
彼だって忙しいんだ…
そう自分に言い聞かせ、暇になった私は、出掛けることにしました。
このとき出掛けなければ。
何度思ったでしょうか。
そこでみたのは。
大切そうに女の人の腰に手を回す彼。
嫌がる素振りは見せず、喜んでいる女性。
私といるときは滅多に見せない笑顔の彼。
それに返すように微笑む女性。
女性の耳元で何かを呟く彼。
真っ赤になり、でも嬉しそうな女性。
…それを…見ているだけの私。
「さ…くらい…」
ドサッ
呆然と佇む私を見つけた彼は、とても、焦っているように見えた。
すごく惨めな気持ちになった私は、その場を駆け出しました。
追いかけてきてくれるかな…
と、少しの期待を持ちながら。
ちょっと走って後ろを見ると
…誰もいなかった。