*雪女ちゃんの秘密*
「あのね、桑原海斗。あなたに聞いて欲しいことがあるの。」
私はそう切り出した。
「なに?」
海斗の優しい瞳に涙が出そうになった。
「私が笑わなくなった理由。それはね...」
私は海斗にすべてを打ち明けた。
中学の頃に拓海と付き合ったこと。
嫌がらせを受けていたこと。
やっと正々堂々と付き合えたのに、初デートに拓海が来なかったこと。
そして、拓海が...亡くなったこと。
最初から最後まで海斗は頷いて聞いてくれていた。
私の暗い過去に耐えられなかったら、海斗もどこかへ行ってしまうだろう。
それでいい。
大切な人を作るとその人を失った時のことを先に考えてしまうから。