それが愛ならかまわない
「あれ?」
正面に眉を顰めた椎名の顔。その背景は白いシーツ。
「気をつけろよ」
掴んだのは椎名の腕だったらしい。渾身の力で引っ張ったせいかベッドに倒れ込んだ椎名と、その上に斜めに覆い被さる私。結果的に押し倒したような体勢になっていた。
「……ごめん」
ダメだ、今日の私はおかしい。
人前でこんな不注意で転ぶなんて普段は絶対ないのに。そして寝起きの椎名が妙な色気を振りまいているからって、至近距離で合ったその眼に一瞬ドキッとしたなんて。
自分のペースを乱され過ぎだ。
「時間あるからって誘ってんの」
「え?……うわっ」
椎名の視線を辿ると、転んだせいでバスローブが派手に肌蹴ていた。慌てて直して起き上がる。
見えた。絶対見えた。
やっぱりバスローブじゃなくて服を着ておけば良かった。
まあ昨夜散々触られてるし。体重とサイズの管理はしっかりしてるつもりだし。見られてもどうって事ないかもしれないけれど、こんな明るい所で堂々と披露したい物でもない。