それが愛ならかまわない
「十四時の約束です」
「分かった、俺も少し顔出すわ」
「お願いします」
部長の了承を得て商談用の部屋の予約を入れる。
折角向こうから再度話を聞きたいと言ってくれた以上この機会を逃したくはない。
都心ではなく地方に展開する老舗不動産チェーンだけれど、その分地元住民からの信頼の厚い企業で業績が良く支店も多い。新規契約できればそれなりに大口の案件になる。
「最近の篠塚さんすごいね。今抱えてる仕事誰より多いんじゃないの」
振り向いた福島さんが声をかけてくる。
褒められてるというよりは呆れられているニュアンスの方が随分と強い気がするけれど、そこは都合良く取っておく事にする。
「そんな事ないですよ。これだってまだ契約取れたわけじゃないですから」
「……忙しそうだし身体壊さないようにね」