それが愛ならかまわない

「ただいま戻りましたー。遅くなってすみません!」


 変な方向へ向かっていく思考を遮るように私は少し大きめの声を出した。
 買物を言付かっていたあちこちから労いの声が上がる。


 溝口さんと手分けして買って来た物を配り終えて自席へと戻ると、デスクの上にいつの間にかクリアファイルに入れた依頼書のコピーが入っていた。貼り付けた付箋に立岡さんの右上がりの字で確認内容が書いてある。
 相手の担当は手書き文字で注釈を付け加えて送ってくるPDFやFAXがやたらと読み取りづらい上に、不在が多く電話してもメールしても中々リターンがない困った取引先だ。
 余計な事は考えず何としても今日中に捕まえて返信を急かそう。
 気合を入れ直して、私は受話器に手を伸ばした。

















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