それが愛ならかまわない
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集中していると、時間が経つのはとても早い。特に私の場合バイトに遅れないようにするために毎日必死なので、就業時間中は無駄に出来ない。
余計な事を考えないためにも仕事に打ち込むのは中々効果的で、売店での一件で抱えていたモヤモヤした気持ちも大分薄れ始めていた。
自分に課した本日のノルマをきっちり終えて、帰り支度をしようとしていたら井出島部長に声をかけられた。
「相変わらず篠塚の仕事は早いなあ。何、デートでもあんの?」
「やだそれある種セクハラですよー」
口ではセクハラと言いつつも、梅田事業部長の様な不快さはない。むしろ梅田部長に向かっては冗談でも「セクハラ」なんて単語は口に出来ない。役職の上下以上にパーソナリティーの問題なんだと思う。
って言うか長嶺さんといい井出島部長といい、なんでデートかどうか探りを入れてくるんだろう。
特に急ぎの仕事もトラブルもないし、今日はあえてがっつり残業しようという雰囲気の社員はあまりいない。私がさっさと会社を出ても問題はないはずだ。
「残念ながらデートじゃないです。相手いませんから」