それが愛ならかまわない

「莉子ちゃんて逆境こそ負けん気で頑張るタイプに見えるから就職活動で落ち込むなんてちょっと意外」


「私、そんな風に見えますか?」


「実は自立心も自尊心も強くて負けず嫌い。で、ちゃんと自分のウリとそれを許容される場所を知ってるって感じ。だから莉子ちゃんは面接で大きな失敗ってしないと思うんだよね。押すべき所も引くべき所も分かってて相手に不快な思いをさせないバランスが身についてるし、接客や営業とか向いてそう」


「……」


 鋭い。脱帽したくなるくらい的確な指摘だった。
 会社と同じ振る舞いをしているつもりでも、見る人が変われば受け取り方も変わるらしい。社内でも男性社員と比べると女子社員の中では私の評価は割れる所だし、女性の目線は色々鋭い。本能的に同性に厳しいだけかもしれないけれど。


「どう?当たってる?」


 笑いながら小野さんが言う。


「凄いですね。結構当たってる……と思います」


「長く接客業やってて毎日たくさんの人を見てるのと年の功ってやつかな」

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