それが愛ならかまわない

「って事は椎名の方もまんざらでもないのか。椎名の口から女の話題って出て来ないと思ってたけどあいつも溝口さんみたいな清純派がタイプって事?まあ口数多い方じゃないし分からんでもないけど」


「というかやっぱエンジニア同士話が合うんじゃないの」


「技術的な事に関しては俺さっぱり分かんないからなあ」


 それは私も同じだ。安田君のぼやきが耳に痛い。おまけに部署も違うので椎名と仕事の話なんかした事はない。
 二人は一体どんな会話を交わしているんだろう。


「それより気になってたんだけどさ、篠塚さんお昼それだけ?」


 石渡君が指差した私のトレイの上には素うどんのミニサイズが一つ。それですら胃がむかついてどうにも飲み込みきれなくて、結局出汁の中に半分近い麺を沈ませたまま私の箸は止まっていた。
 椎名の事から話が逸れたのは嬉しいけれど、これはこれであまり触れられたくない話題だった。


「うーん、なんか最近食欲なくて……」


「最近痩せたよね。ずっと顔色よくないし、体調悪い?」


「確かに何か青白いな、篠塚さん」

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