それが愛ならかまわない
* * *
瞼の内側へ差し込んできた蛍光灯の明かりが頼りなく滲んだ。なのにやたら眩しく感じて、目をはっきりと開けることが出来ない。
地震でも起きたかのように視界が揺れている。頭の中に何かがぎっちりと詰まったかのように重い。
「……篠塚さん?起きた?」
斜め上から福島さんの声が聞こえた。
天井から視線をずらすと彼女の顔がこちらを見下ろしている。
その背後はやけに白さが眩しい壁。そこに貼られた成人病の警告。健康診断の告知。人間ドッグの勧め。おまけに漂うツンとした独特の香り。
「篠塚さん?」
医務室だ、と気がついた瞬間上半身が飛び起きた。それと同時に激しい頭痛と目眩と吐き気が襲って来る。
「……っ」
「ちょっと、ほら急に起き上がるから……」