それが愛ならかまわない
「……はい」
そう、完全に仕事が順調だからと調子に乗っていた私の失態だった。
早く二重生活から開放されたくて必死でバイトを詰め込んでいたけれど、体調崩して本業に穴を開けてるようじゃ本末転倒だ。それが分かっているからこそ激しい自己嫌悪に苛まれる。
「……泣いてるのかと思った」
「やだなあ、泣いたりしないですよ。自業自得なわけだし」
反射的に浮かんだ私の笑顔を無言で眺めて福島さんが真顔になる。
「午後休にして帰ってもいいってよ。ちょっと手が空いて様子見に来ただけだから私もう戻るけど、荷物持って来ようか?」
気を遣われているなと思った。
私と福島さんはお世辞にも仲の良い先輩後輩ではない。けれど彼女だって嫌味ばかりを向けてくる訳じゃない。先日の「身体を壊さないように」という忠告は最もな正論だったわけだ。
「自分で取りに行けるんで、大丈夫です。帰って休みます」
「わかった。急に起き上がらないで、ゆっくりね」