それが愛ならかまわない
中途半端に弁解されてもこちらも困る。
部長がフォローを入れてくれるけれど、商品を売り込むだけじゃなくてコンサル業務を兼ねている営業が客先に信用されないんじゃ意味がない。
「……今後共よろしくお願い致します」
複雑な内心を秘めながら私は頭を下げた。
さっき福島さんが言っていた通り、会社は何も損をしていない。ただ担当が私じゃなくて大友さんになっただけだ。もちろん契約にこぎつける為、そして私のドタキャンの弁解の為に大友さんと部長は上手く話を持って行く努力をしただろうけど。
客の姿がドアの外に消えた所で部長が伸びをしながら言った。
「篠塚、体調はもういいのか?」
「大丈夫です。迷惑かけて本当に申し訳有りませんでした。大友さん、後で引き継ぎ資料お渡ししますね」
「……こんな時までヘラヘラしなくていいんじゃないの」
直接の関わりがない為かお客さんの前では一歩下がっていた福島さんが腕組みをして真顔で言う。