それが愛ならかまわない

「この忙しい時期に辞められる訳がないじゃない。シフトだって決まってるんだし」


「自己管理も出来てないくせに。それで周りに迷惑かけてんだから世話ないな」


「ちょっと体力の配分間違えただけだし。もう倒れたりしないから」


「一体何と戦ってんだよ。何でもかんでも自分で自分がって頑張ってる事に酔いしれてるだけだろ」


 適格で痛烈な指摘。椎名の言葉が錐の様に私の中心を刺す。


「自分の能力に自信があるのは結構だけど、意地と矜持を取り違えるなよ。プライドにとらわれ過ぎてるといずれ困るのは自分だぞ」


「意地なんかじゃ……」


 さっきと同じ様に、語尾が言葉にならずにかき消えた。
 さっさと自分の手でけりを付けたい。そうすれば過去は消せなくても少しは胸がすくに違いない。そう考えるのは確かに私の意地とプライドだけど、自分に酔ってる訳じゃない。
 反論したいのに何も言葉が出て来なかった。


「椎名には、関係ないでしょう」


 そう返すのが精一杯で。

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