それが愛ならかまわない
書き込まれた予定のカラーラベルが黄色から紫に変わったのを確認して私は画面を切り替えた。
共有スケジュールは一人ずつ色を割り当てられていて、誰が何を担当しているのかすぐに判別出来る様になっている。黄色は私に振られている色、紫は福島さんの仕事だった。
NTの仕事も東計の仕事も引き継いで年末までのスケジュールに見直しをかけ、無理矢理に詰め込んでいた出張や外回りを少しずつ先延ばしにすると大分余裕が出来た。
元の予定のままなら、時期が多少ずれても結局いつかは破綻していたに違いない。自分が目の前の事に必死になり過ぎていたのを改めて痛感する。
県外で予定していたセミナーの担当を代わって欲しいと福島さんに頼んだら、心底意外そうな顔をされた。
「動かせない予定がない限り何でも自分が行きたがる篠塚さんが、代わってくれだなんて珍しい事もあるもんね」
「ちょっと詰め込み過ぎてるなと反省したんです、これでも」
「そうね、迷惑かけた分は成長してもらわないとね」と言って、珍しく福島さんが笑顔を見せる。
彼女と立岡さんの会話を立ち聞きしてしまって以来、顔を合わせるといたたまれない気持ちになるけれど、二人は私自身に直接は何も言ってこなかったので私も今まで通りの態度を貫くしかなかった。確かに私の中に独りよがりの部分があるのは自覚しているし否定できないので、二人が心の内に秘めていてくれている間に改善したいと思う。