それが愛ならかまわない

「いいんじゃない?余裕あって。ちょっと前まで前のめり過ぎてちょっとつついたら顔面から倒れそうだったけど」


 それだけ言うと福島さんはくるりと椅子の背を向けてしまう。


「倒れたり色々失敗して反省したんです、これでも。これ以上福島さんに嫌われたくないんで」


 あえて冗談ぽくそんな言い方をしてみたけれど、福島さんは背を向けたまま肩をすくめただけだった。


「別に嫌っちゃいないけど。ただ私と篠塚さんはタイプが違うしやり方が合わないなと思うだけで」


「意外と私、福島さんと似てると思うんですけどね」


「どこが」


「性格とか考え方とか」


「似てないでしょ」

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