それが愛ならかまわない

「……じゃあ、椎名は助けようって気はなかったんだ?」


 今回と先日の売店での一件をイメージしながら横目で隣で肩をすくめている椎名を見る。
 あの時椎名は溝口さんを庇ったけれど私は放置だったし、今梅田部長との間に割って入って上手く収めてくれたのは長嶺さんだ。我ながら恨みがましいなとは思うけれど、どうしてもあの時の事が引っかかっている。


「俺が口出して事態が好転するとも思えなかったし、そもそも自分で何とか出来るやつに手を貸す必要ないだろ」


「……何とか出来なくて今困ってたんですが」


「それでもきっと長嶺さんがフォローしなくても篠塚はどうにかして上手く切り抜けたと思う」


「買い被り過ぎだよ」


「シビアに判断してるつもりだし、そういう所変な甘えがなくていいと思ってたんだけど?」


「……え?」

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