それが愛ならかまわない
それだけ告げると返事を聞かず通話を切った。電話を鞄に放り込んで、繁華街の奥へと流れる人混みに逆らう様に駅方面への道を走り出す。
高過ぎる自尊心で、自分の気持ちさえ中々認められなかった。
「プライド高いんだな」────あの日、椎名に嗤われた事を思い出す。
でもそのせいで失うくらいなら。プライドなんて糞食らえだ。
もう待つ必要も回りくどいやり方で誘う必要もない。今度こそ素直にぶつかってやる。そんな決意を固めながら。