それが愛ならかまわない

「ずるっ……」


「はっきり言えって言ったのそっちだろ」


 確かにそうだけど!望んだ通りストレート過ぎる言葉をもらったけど!


「後手に回るのは嫌なんだよ。ほら、そっちの番」


 クールどころかかなりの負けず嫌いじゃないか。先に言った者勝ちって訳でもあるまいし。
 そう思いつつも、どうにかして形勢逆転したいと瞬間的に頭の中で考えてしまう私がいて、結局負けず嫌いはお互い様だ。


「……っ」


 無言のまま、目の前のネクタイを片手で掴んで思い切り引く。
 まさかそう来るとは思わなかったらしく、軽く目を見開いてバランスを崩した身体を支えようとする椎名の顔を正面から見つめながら、もう片方の手で眼鏡を引き抜いてベッドに放り投げ、顔を引き寄せる。


「椎名が好き」


 囁いたその言葉がお互いの唇の間に吸い込まれて行く。

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