それが愛ならかまわない

「近いうちに莉子の所のシステム導入してみたいと思ってるんだ。今度詳しい話する時間あるかな」


「……私でいいんですか」


「莉子が仕事に対して真面目で一生懸命だったのはちゃんと知ってるよ。……だからこそ俺は君に『仕事は辞めていい』なんて言うべきじゃなかったな。若くて綺麗な彼女が出来て年甲斐もなく浮かれてたんだ。悪かったと思ってる」


 ストレートに謝罪されて驚いた。


「気不味いっていうなら窓口には別の奴立てるし。莉子さえ嫌じゃなければ、担当してくれる営業は莉子に任せたい」


 ヤバい。
 今、結構泣きそうだ。


 念入りに準備をして来たのに譲らなければならなくなった仕事。女性だから不安だと言われた事。はっきり嫌がらないからという理由だけでセクハラのターゲットにされた事。
 色々あって改めて考えさせられただけに、これまでの仕事ぶりを見た上で自分に信頼を寄せられるのがどれだけ貴重な事か今はもう知っている。
 そうだ、浅利さんは付き合う前から仕事には真摯な人だった。それを格好良いと思ったから付き合った。打算でもなんでもなく、一時はちゃんとそこに愛情と呼べるものが存在していた。
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