それが愛ならかまわない
「うちの奥さん夜勤メインの看護師なんだよなあ。子供が出来るまでは頑張りたいって言うからさ。基本すれ違いなんだよ。帰っても誰もいなかったら寂しいだろ」
「長嶺さんの稼ぎなら充分家族養えるじゃないですか……」
「彼女仕事好きなんだよ。やりたいって言ってるのに俺の一存で辞めさせるわけにはいかないじゃないか。……いやでも最近とうとう出来たらしくてさあ」
自分のお腹を撫でながらニヤニヤと長嶺さんが目尻を下げる。常に明るい人ではあったけれど、こんな風にデレてる様子なんて初めて見た。どちらかというと厳つい顔立ちの長嶺さんなのに先輩の威厳、形無し。
「やべ。安定期に入るまでは人に言うなって言われてたんだった」
思わず私と椎名は顔を見合わせた。
「良かったじゃないですか。おめでとうございます!」
「おめでとうございます。……というか奥さん妊娠してらっしゃるなら早く帰らなくていいんですか……」
「今日は仕事。身体に負担かけないよう徐々にシフトは昼間に変えていくらしいけど産休までは働きたいんだってさ」