それが愛ならかまわない

 まあ病院が職場な訳だし俺が仕事の間家に一人にするより安心だよな、なんて長嶺さんは一人で頷いている。
 まさか長嶺さんにこんなに盛大に惚気けを聞かされるとは思わなかった。


「……ほら、心配する事なんか何もないし」


 ちらりと横目で見てみたけれど、椎名は唇を引き締めた表情のまま何も言わない。どこまで本気で妬いてたのかもわからない。
 この顔に隠された本音は何だろう、とつい裏を読もうとする自分がいる。椎名が長嶺さんを尊敬しているらしいって事は伝わってくるので、長嶺さんに対してだけ妬くのはそのせいなんだろうか。


「何、もしかしてお前俺と篠塚ちゃんの事邪推してた?」


「……っ!」


「前からないって言ってんのに妙に気にしてるよなあ、椎名。俺はそんなに魅力的かね。てか二人くっついたんだ?まあ時間の問題だとは思ってたけどさあ」


 長嶺さんが頬杖をついて人の悪い笑みを浮かべる。
 確かに一度二人でここでランチしている所は目撃されたけれど、それ以外に目に見える接点なんて殆どなかったはず。なのに長嶺さんに意外そうな様子は全く無い。一体この人の情報網はどうなってるんだろう。

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