それが愛ならかまわない
合理的って。もうちょっとマシな言い方はないんだろうか。
確かに残りはあと少しだし無理な金額な訳じゃないから自分で何とかするって言い切ったのは私で、その気持ちを汲んでくれるのは嬉しいんだけど。
「……椎名って、私の事好きだよね……」
それでもこんな事を言い出したのがさっきの長嶺さんの話の影響かもしれないと思うと、このとりすました椎名の顔も微笑ましく見えてくる。
バイトを黙っていてくれたり、北見先輩から助けてくれたり、梅田事業部長のセクハラから助けてくれたり、灯ちゃんを紹介してくれたり。言い方は捻くれていても、なんだかんだいつも椎名は私の事を考えてくれているのをもう私は知っている。
「……また言うか、それ」
「愛を感じるって事」
無愛想でも。口が悪くても。
そこに愛があると思えるなら、かまわない。
「とりあえず」
手を伸ばし椎名の顔から眼鏡を外す。