それが愛ならかまわない

 目を開けると、見知らぬシーリングライトが視界に飛び込んできた。天井の色が、私の部屋の様に古ぼけてくすんではいない。
 窓にかけられたロールカーテンを透かして部屋の中がぼんやりと明るい。物が少ないのは私の部屋といい勝負だけれど、壁際に置かれたデスクとそこに設置されたデスクトップパソコンが一際存在感を放っている。
 慣れない手触りは白、ではなく紺色のシーツ。ホテルのベッドの様に広くはない、パイプ製のシンプルなシングルベッド。


「おはよう」


 声をかけられて肩越しに背後を見ると、片肘をついた椎名が斜め上からこちらを見ていた。今朝は彼の方が眼が覚めたのが早かったらしい。


「……おはよ」


 布団から出た剥き出しの肩が寒かったのと、寝顔を眺められていた照れ臭さと、不意打ちの至近距離で眼が合ってしまった衝撃と。複合的な理由で掛け布団を引っ張りその中に潜り込んだ。
 すっぴんを見られるのは平気だけど、寝ている時の顔は自分では確認できないので人にまじまじと見られるのには抵抗がある。普段そんなに眠りが深い方じゃないので、誰かと寝ていて私の方が後から目が覚める事なんてなかったのに。
 決して広くはないベッドの中、動くとどうしても剥き出しの肌が椎名のそれに触れる。前の時よりも気温が下がって肌寒くなっているので、余計に人肌の暖かさを意識してしまう。

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