それが愛ならかまわない

「ところでそれは誘ってんの」


 どこかで聞き覚えのある科白を椎名が口にする。
 彼の視線を追った私は一人裸の上半身を晒していた事に気づき、慌てて倒れ込み布団を引き寄せた。


「違……!!」


「だーから布団だけ引っ張るなって……」


 そう言いながら今度は正面から引き寄せられる。
 起き上がって冷えた肩を包む椎名の腕がさっきより更に熱い。


「家賃半分出すとか考えてるって事は、引っ越し決定でいいんだ?」


 耳の少し上から私の髪を伝わって響く声と肩から腰をゆっくり上下する手に、背中がぞくりと粟立った。


「……さあ?」


 全身の力を抜きたくなる気持ちに抵抗して、少し椎名の胸を押し戻すと顔を上げる。

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