それが愛ならかまわない
「もっとこの部屋に越してくる利点とか居心地の良さとかもっとサービスしてアピールしてくれないと、契約は取らせません」
「……へえ……」
わざとらしくにっこり笑って見せた私の意図を理解した椎名が、同じ様に唇の端を上げる。
「本当にプライド高いっていうか、素直じゃないよな……」
そう言いながら椎名が身体を起こして私を再度見下ろす。
「まあ篠塚らしいけど」
仕方ない。ここで可愛く誘ったり出来ずに、こういう言い方しか出来ないのが私なんだから。
「目一杯サービスするから、そういう所、俺以外に見せるなよ」
「当たり前でしょ。椎名こそ、私の前以外で眼鏡外さないでね」
お互いの言葉に笑って、どちらからともなく、私達はキスをした。
fin.