それが愛ならかまわない

 意外にも上手いキスのお陰で僅かに残っていた躊躇いはどこかに消えた。
 唇を重ねる事に嫌悪感を感じなかったという事は、その先も出来るという事だ。無理だと思う相手の場合は多分本能が拒否をする。ならいっそ楽しまなきゃ勿体無い。
 腕と舌を遠慮無く相手に絡み付け、椎名の髪に指を入れる。セットされていたはずの髪は崩れてサラサラと指の隙間を零れ落ちていった。


 多分その夜の私は、過去のどんな相手とのセックスよりも大胆で積極的だった。

























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