それが愛ならかまわない
膝に頬杖をついた姿勢で気怠げな視線が私を眺める。
起きた時も思ったけれど、椎名は眼鏡がないと随分と印象が変わる。
切れ長なのに私より長くて多いんじゃないかっていう睫毛に縁取られた眼。ニキビ跡一つない肌にシャープな顎。寝起きのくせに寝癖一つついてない黒髪。
普段は眼鏡ときっちりセットされた髪型のせいで堅物そうなルックスが、睫毛効果か今は随分と柔らかい。おまけにシチュエーションのせいか妙な色気まで漂わせていてタチが悪い。
「……おはよ。反省会は終わった?」
「!」
バスルームの中で色々考えていた事、バレている。
当たり前か。シャワーを止めた後も結構な時間私は出て来なかった。その理由くらいすぐ検討はつくだろう。
「別に今更後悔なんてしないし」
「ならいいけど」
冷静に冷静に。
私はこんな事で取り乱すようなキャラじゃない。
全ては自分で決めて行動した事なのだ。それを今になって後悔するなんて無駄な事はしたくない。昨夜私は自分から誘って椎名とこのホテルに来たのだから。