それが愛ならかまわない
「いやですよ。長嶺さんと金曜に飲んだりしたら朝までコースじゃないですか」
「明日休みなんだからいいだろ」
「しんどいんでお断りします」
「お前俺より若い癖に」
「俺は自分の肝臓が可愛いんで」
椎名は淡々とした口調で長嶺さんの誘いをかわしている。
私と同期なんだから椎名にとっても長嶺さんは先輩のはずだ。愛想のない椎名だけれど、意外に同じ部署の先輩とはそれなりに気安い間柄らしい。
「篠塚ちゃんと椎名って同期だったよな」
「はい」
「こいついつも面倒くさそうな覇気も面白みもない顔してるだろ。仕事は出来るんだけど客先相手にする時も愛想ないからいつもヒヤヒヤもんだよ。篠塚ちゃんのスマイル力分けてもらえばいいのにな」