それが愛ならかまわない
ベッドに腰掛けて椎名に背を向けドライヤーで髪を乾かす。それを彼がじっと眺めているらしいのがなんとなく落ち着かない。
「……篠塚って……」
「え?」
「結構自信家だよな」
「何それ」
唐突に投げられた遠慮のない言葉に思わず眉が釣り上がる。取り繕っていたはずの表情が吹っ飛んだ。
いや確かに私の会社で見せてる顔と内面に開きがあるのは否定しないけど。
椎名とはまともに口を聞くのなんて昨夜が初めてで、この一晩の間にそんな指摘を受ける程自分を曝け出した覚えはない。
「自分に価値があると思ってないとこういう事は出来ないだろ」
そう言って奴は口元だけで笑った。