それが愛ならかまわない
こういう事。つまりホテルのベッドで裸で抱き合って目覚めるような事、だ。
皮肉のつもり?乗ってきたのはそっちのくせに。つまり椎名は私にその価値を認めたって事じゃない。
顔を顰めて椎名を睨んだけれど、奴は軽く笑うだけだった。
「ま、別にこんな事までしてくれなくても本当に人に話す気なんかなかったけど」
「は?」
流せない言葉を耳にして、思わずドライヤーを止めて聞き返す。
「まさか篠塚から誘われるとはね」
それこそ本当に今更だ。お酒の勢いもあったとは言え、誘いに乗ってがっつりやっといてそれはないでしょう。こっちは悩みに悩んだ末に口止めとして身体を張る決心をしたっていうのに。
「じゃあなんで乗ってきたの」
「……それは……」
そこで言葉を切ると椎名は意味有りげに、けれどどこか冷めた眼で私を見た。
「何」